概要・開催趣旨

〈代表〉 佐藤 勝彦 (東京大学)

「我々の住むこの世界はどのように始まったのだろうか?」 この疑問は、人類がその歴史の始まったころから問い続けてきた疑問です。一般相対論の枠組みの上に構築された現代の標準理論、ビッグバン宇宙論や、この十余年爆発的に進歩した素粒子論的宇宙論は、宇宙の創生のみならず、初期宇宙において宇宙構造を形成する種がいかに仕込まれ、それがいかに進化して今日の豊かな構造を持った宇宙が形成されたかを予言しています。人類の認識の根幹に関わるこの重要課題に取り組み、宇宙の創生から宇宙構造の力学的進化・化学進化を経て、現在の宇宙へ至る統一的な宇宙像の構築を完成させるためには、必然的に現在よりはるか昔の宇宙、したがって極めて遠方の宇宙 -- 初期宇宙 --- を探る必要があります。  宇宙では遠方を観測することは過去を観測することです。1億光年先の宇宙を観測することは1億年前の宇宙を観測することなのです。 時間を遡った過去の姿が直接観測できるということは、科学の世界では極めて特異なことであり、宇宙の研究に与えられた大きなメリットです。 素粒子論的モデルをも含む広い意味でのビッグバン宇宙論の描像に、より具体的な肉づけを与え、宇宙の曲率、年齢などの基本的パラメ−タを決定し、暗黒物質、暗黒エネルギーなど隠れた存在の正体を解明する研究は、荷電結合素子に代表される観測技術の急激進歩により、また、スーパーコンピューターを駆使した観測データ解析、数値シミュレーションなどによりいま爆発的に進展しています。  文部科学省COE形成プログラム「初期宇宙の探求」(平成14年−13年度)では、日本における宇宙論研究の拠点形成をめざし、宇宙の創生から、物質の起源、構造の起源の研究を進め観測、理論の両面において大きな成果を挙げました。 本シンポジウムではこのプログラムの成果を柱として、宇宙の誕生から未来にいたる現代の科学的宇宙論、ビッグバンモデルの進展を最新の理論、観測から紹介します。

第18回「大学と科学」公開シンポジウム
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