概要・開催趣旨

〈代表〉 森田 清三 (大阪大学)

携帯電話の高性能化、パソコン・インターネットの高速化、我々の生活に欠かせなくなってきた身近な最先端機器は、急速な進歩・発展を遂げつつあります。これらを支えているのが、微細加工に基づいたミクロ化で、21世紀初頭は、既に「ナノテクノロジー時代」に突入しつつあります。加速度的に進歩しているミクロ化は、2010年から2020年頃にミクロ化の極限すなわち原子・分子レベルに到達すると予想されています。この頃を境にして、ミクロな物作りは、大きなものから小さなものを削りだす「微細加工」から、個々の原子や分子を積み木のように組み立てる「微細組立」に移行します。その結果、科学や工業が急激な転換期を迎え、「新産業革命」が起こり、社会は大きな変動期に突入します。この「微細組立」のコア技術となるのが、個々の原子や分子を、見て、測って、制御して、操作することを可能とする原子・分子技術です。
 「原子・分子の科学と技術の時代」の実現には、多様な原子や分子を個々に扱う多種類の工具が必要となります。現時点の原子・分子用工具箱には、電気的方法に基づいた原子・分子技術、すなわち、ほぼ完成された走査型トンネル顕微鏡(STM)と、力学に基づいた原子・分子技術、すなわち、黎明期を脱して急速な成長・発展期に突入した原子間力顕微鏡(AFM)が入っています。本シンポジウムでは、科学研究費補助金特定領域研究(B)「原子分子のナノ力学」の成果を柱として、絶縁体も扱えて原子間力や分子間力も測定できる次世代の原子・分子技術、すなわち、ミクロな力により、個々の原子や分子をナノ力学的に、見て、測って、制御して、操作することを可能とする新しい技術および学問を判り易く解説しています。「原子・分子のナノ力学」と呼ばれる新しい科学技術分野の研究成果と、それによって実現される次世代の科学と工学および夢のある未来社会について、参加者の皆さんと共に語り合いたいと思います。専門家から、はじめての方々まで、この新しい科学技術の公開シンポジウムへの参加を歓迎します。

第18回「大学と科学」公開シンポジウム
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