概要

〈代表〉 岡田 益男 (東北大学)

水素から思い浮かべるものは何ですか? 水、ロケット燃料、飛行船、周期律表の1番目など、数多い元素の中で、名前だけは身近にあるのですが、生活に欠かせないものだという実感はありません。しかし、環境も重視しなければならない21世紀となって、化石燃料に代わり、無限に存在する新しいクリーンなエネルギーとして、たびたび新聞で取り上げられるようになり、その言葉がより身近な存在となってきました。でも、水素はエネルギーとしての用途しかないのでしょうか。今後、水素を利用する立場から、水素の働きをもっと知っておく必要があります。これまで、材料科学における水素は鋼等を脆くするなど“やっかいもの”のイメージが強かったのです。しかし水素は本当にやっかいものなのでしょうか?何か良い効果などを生み出すことはないのでしょうか?
水素には他の元素にはない面白い性質があります。材料中に侵入し、自由に飛行し、抜け出すことができます。元素として最小の原子半径を持っているためになせる技です。ですから、水素を材料中にエネルギーとして貯蔵し、必要な時に取り出して利用できることになります。
それでは、水素を金属に導入したら、何か性質が変わるのでしょうか。結晶の構造が変化したり、金属が透明になったり、ものを冷やす冷却媒体になったりします。また、導入した水素を金属から取り出したらどんな変化が起きるのでしょうか。チタン合金が飴のように伸びたり、強い希土類磁石粉末になったり、孔だらけの金属になったりします。
 このシンポジウムは材料における水素が持っている有用な働き(機能)について総合的に研究した結果について紹介します。また、最近の水素の利用技術も紹介します。  水素の面白さを楽しんで頂ければ幸いです。

第18回「大学と科学」公開シンポジウム
All rights reserved